北アイルランド留学日記

2020年10月3日、コロナ禍のなかで渡航して、語学留学をした記録です。

お引っ越し

 ベルファスト に滞在2週間目ですが宿泊施設を移りました。最初は、新入生がみんな入るElms Village (Elms BT9)にいたのですが、今日から市街地にあるBT1&BT2*1に移りました。

 移動の一番の理由は「とってもうるさい」でした。これまで私のいた棟は、ほとんどが中国からの留学生で、みんな二十歳前後です。みんな、だんだんと仲良くなっていったのはいいのですが、毎晩のようにパーティーを開き、酔っ払って大騒ぎするようになってしまいました。キッチンでも廊下でも中国語が飛び交って、ずーっと人の気配がします。

 誤解しないで欲しいのですが、かれらはとてもいい子たちです。私が話しかければ、厭わず慣れない英語で話して一緒にいてくれようとしますし、何度もパーティーにも誘ってくれました。もし、私がもっと若ければ*2、きっと一緒に仲良くなって、中国語を教えてもらったり、朝まで語り合ったりしたと思うのです。それはそれできっとハッピーな留学生生活でしょう。私だって、かれらの年の頃には、同じように朝まで騒ぐことはよくあったわけですから。しかし、私は自分の生活のペースもありますし、ひとりになって静かに過ごす時間が必要です。そういうわけで、私は語学学校の宿泊施設担当のスタッフに「別の場所に移りたい」と訴えて、もっと年長の学生が暮らす棟を探してもらっていました。

 実はスタッフは最初、「それは難しいかも」とちょっと悩んだ顔をしていました。年長の学生向けの施設はなかなか空きが出ないそうです。でも、すぐに朗報が!それが新しいBT1&BT2のstudioタイプ*3の部屋です。ここは市街地のど真ん中の高層ビルになっていて、一階はもちろんオートロックで24時間、セキュリティのスタッフがついています。受付もありますし、エレベーターで部屋まで一気にあがります。私はその知らせに大喜びでした。

 しかし、どうやって引越しを? タクシーで移動するにしても、すでに2週間の間に生活用品はずいぶんと増えてしまいました。困った私は、同じ棟に住む日本からの留学生*4に手伝いを頼みました。でも、まだ荷物が多い……ちょっと深刻な顔になりかけたんですが、語学学校の授業の後、「実は引っ越しするんだ〜」とチャイニーズの学生に言うと「手伝うことあったら、すぐに言ってね!」といってくれました。優しい。お言葉に甘えて、かれらにも手伝ってもらうことになりました。

 さらに、私は冷蔵庫に買った肉が余っていたので「よかったらあげるよ〜」と料理好きのチャイニーズの男子に言ってみると、「いいの?! お金払うよ!」って申し出てくれたんだけど、そんなのもあんまりなので、代わりにランチをご馳走になることに。初めてかれらと一緒にご飯を食べて、中華をつついて白米食べてたら「ここにいてもいいのでは?」という気持ちに……あと、私があげようとした肉は賞味期限が切れてたそうで、私は平謝り。なんかこういうところが、私は……と落ち込むものの、「気にしないで」とかれらは言ってくれて、一緒にお昼を楽しませてもらいました。

 いざ、寮を去ることになる、年下のチャイニーズ女子が、「なんで出ていくの?! さびしい!」と惜しんでくれて、すごく嬉しい気持ちに。まさか「ここがうるさすぎて」とは言えず、「キッチンがついてる部屋に移りたかったんだよ」と言うと、納得はしてくれました。最後にみんなでタクシーを見送ってくれて、ホロっと泣きそうになりました。「あれくらいでうるさいって出ていくなんて、私は心狭かったかなあ?」などと考えてしまいました。

 が、新しい部屋についたら「わーい!!!!」と叫びそうになりました。部屋が静かで、誰の声も聞こえません。割り当てられた部屋がラッキーにも高層階だったので、ベルファストの街や向こうにある山が見えます。素晴らしい眺め。ちょっと涙が出そうになりました。ここなら、自分の生活のペースを保てそうで、ほっとしました。

 このエピソードは、私に取って直線のストーリーにはなっておらず、いろんな迷いやためらいのなかで、起きました。留学中の生活環境の問題は「よくあること」だし、そんなに大きな問題でもない。でも、すっきりと一言では語れない話になっています。

*1:二つは別の施設なのですが、一応、滞在中なのでぼかします。

*2:また後で書きますが、私は「中年」と呼ばれる年代の女性です。若く見えるので、多分クラスメイトも寮生も、誰も私が40前だとは気づいていません。

*3:日本で言うところのワンルームです。キッチンとシャワーがついています。

*4:彼には新しい住居まで一緒に来てもらって、本当に助かりました。彼がいなかったら、作業中に心折れてたと思う。