北アイルランド留学日記

2020年10月3日、コロナ禍のなかで渡航して、語学留学をした記録です。

オンライン授業を受けるコツ&ライティングの試験対策

 今日もGのオンライン授業ですが、快適に進んでいっております。そして、「私は上手にオンライン授業を受けてるほうだなあ」とも思いました。授業を受けるコツは何か。それは「質問しまくること」です。できれば、マイクをオンにして他の学生にも聞こえるように、先生に話しかけるのが望ましいです。

 オンライン授業は、機材のトラブルがつきものです。「画面が共有されていない」「ファイルがダウンロードできない」「音声が途切れて良く聞こえない」「先生の話が早くて、課題がなにかわからなかった」等々、いろんなことが起きます。それが教員にはほぼ感知できません。つまり黙っていると、先生はどんどん授業を進めていくのです。

 今の先生は、「途中で授業を妨げていいから、マイクをオンにして質問してください」と繰り返し言ってくれるので、私は遠慮なく、何度も質問していました。クラス変更のせいか、機材トラブルが良く起きるのです。そうすると、他の学生からも質問が出るようになります。ここで発覚したのは、「みんな、これまでトラブルが起きても黙っていた」ことです。「私もです」と言い出す学生が続出。

 そして、私は授業の内容についてもどんどん質問するし、「自発的に発表してくれる人はいますか」と聞かれると、「やりたいです」とすぐに手を挙げるのですが、みんな、それにつられたのか(もしくは、自分も喋りたくなったのか)発言が増えてきました。今日の先生のメールには「今日は皆さんから質問や自発的な発表が多くてとても良かったです。明日もがんばりましょう」と書いてありました*1。よかった、よかった。

 私はどこであろうと*2、すぐ手を挙げるほうなんですが、自分だけ発言してると「授業の時間を独占して悪いなあ」という気持ちも出てきます。前のクラスでは、多分本当にみんな答えがわからず、私だけが話して、あとは沈黙ということがよくありましたが、今のクラスは「言い出しっぺ」を待ってたらしく、今日は盛りがってきました。呼び水効果になったようです。そうなると、先生の授業も勢いがノッてきます。なので、オンライン授業で遠慮なく質問するのは良いことだなあ、と思いました。

 ただ、それでも、課題の内容がわからないまま黙っている学生もいます。今日は30分くらい、課題をやる時間があって、先生はわからなくなった学生や質問する学生を個人チャットでフォローしてまわっていました。そして、課題の発表の時間になったのですが、一人の学生は「わからないので、何もしませんでした」と言いました。「マジで?」と関係ないのにひとりで冷や汗が出る私。その学生には、先生が「わからないときは、必ず聞いてください。黙って座っていたら、勉強の成果はゼロです。時間の無駄です」と何度も繰り返し伝えていました。対面だと、ぼんやりしている学生は教員の側から拾い上げにいくことができますが、オンラインだとそれがとても難しいです。本人の問題ではありますがこれは、授業をやる側にとっては気が気じゃないなあと思いました。

 それはそうと、授業の内容はずいぶんと役立つことが多かったです。今日はライティングの試験戦略について、先生に質問してみました。ライティングの試験というのは、IELTSなどの語学能力判定試験に出るもので、yes/noを問われるものが多いです。たとえば「オンラインショッピングの利点と不利点を議論しなさい」や「スポーツは精神の鍛錬になるという説にあなたは同意しますか、同意しませんか」というような問題が出ます。これは、回答にテンプレートがあります。典型的なものはこんな感じです。

イントロダクション:今日ではオンラインショッピングが盛んになっている。オンラインショッピングには利点と不利点があるので、これから私は述べていく

本文1(予想される主張):オンラインショッピングは便利であり、人々の生活を豊かにしている

本文2(それに対する反論):しかしながら、オンラインショッピングには商品の輸送の際に交通機関からCO2が排出され、環境負荷が高い。これは気候変動の原因になる

結論:確かにオンラインショッピングは便利ではあるが、環境問題を考えると不利点の方が大きい。今後はオンラインショッピングへの依存を見直すべきだ。

 私が質問したのは、「本文はともかく、イントロダクションと結論が退屈な文章になってしまうのはどうすればいいですか?」です。これは私の悩みの種で、自分で「つまんない文章だな」と思いつつ書くと、気分が乗らないのです。先生は笑って「なるほど、確かに退屈になりやすい。それは、友だちに話すつもりで、少しだけ自分のパーソナルな情報を入れてみるといいですよ」と答えてくれました。例えばこんな感じです。

イントロダクション:オンラインショッピングはすっかり私たちの生活の一部になってしまった。 私の部屋にあるものも、ほとんどはオンラインショッピングで買ったものだ。私たちはオンラインショッピングのどこに魅力を感じ、どこに問題を見出しているのだろうか。

 確かに、書いていてノッてくるのはこちらです。ライティングの試験で緊張しながら、時間の制約との闘いの中で、こんなイントロダクションが思いつけるのかはわかりませんが、先生曰く、「試験は、練習、練習、そして練習ですよ」とのことでした。そう言われると「そうですよね」と思うばかり。私は試験が大変苦手なので、練習しなければなりません。

 他方、私が得意なのは試験よりリサーチエッセイのライティングです。今日はパラフレーズの練習をするために、自分が資料として使う論文の一部を抜き出して、元の文章の構造をばらし、言葉を置き換えて同じ意味になるようにリライトします。日本語だと引用や要約の後に、「言い換えると(in other words)」という言葉でつないで、自分なりの文章に書き換えることがありますが、これはパラフレーズではないとのこと。パラフレーズとは、全く同じ内容を「元の言葉」と「置き換えた言葉」が対応するように書き換える技法だそうです。

 私は自分が論文から抜き出した文章が、哲学的で抽象的な部分だったので苦労しましたが、なんとかやりおおせて発表しました。すると、先生に「これは素晴らしい。前の文章の意味は維持したまま、ずっとわかりやすく書き換えができています」と褒められました。これは嬉しいコメント。こういう文章表現の工夫については、私は熱意を持って取り組めるので、楽しかったです。

 授業のあと、同じクラスに移動したMからwechatで連絡。「来週から、元のクラスに戻るよね?」と聞かれたので「今のクラスの方が面白いから残るよ」と答えると、「そうなの?!戻ると思っていた」と驚いた様子。

「私は前の授業は簡単すぎると思ったんだよね。そっちはどう?」

「簡単すぎると、前の先生から学べることは何もない。Gのほうがいい先生だ。自分も今のクラスに残るよ」

 とのことでした。Mは前の先生に不満を持ってたから納得ではあります。ずっとオンラインなのは残念ですが、個人レベルでは交流は続けられます。Mとは週末に遊ぶ約束をしました。「せっかくベルファストにきたのに」という思いもありますが、ベストよりはベターを選ぶしかありません。なんといっても、全てはコロナ禍のせいなので、多くは望むまい、と思います。

*1:この先生は、毎日、次の授業の予定を知らせるメールに、一緒にその日の授業のコメントを添えてくれます。ちょっとしたことだけど、学生側は嬉しいもんですね

*2:マジで、どこであろうとも。そこが偉い人が集まる場所だろうと、1000人規模のシンポジウムであろうとも、私を批判しようとてぐすね引いてる奴がいようとも。